33年前、縁あってフロリダへ行ってきました。当時はまだ観光でフロリダへ行く人が少ない時代で、見ること聞くこと感動の連続でした。帰宅後、見聞記を書き小冊子にまとめ友人たち配りました。 古い写真を整理していると、写真と共にその小冊子が出てきました。読み返してみるとこの時の感動がよみがえりました。読みたいという友人たちの要望に応え、カラーの復刻版を出すことにしました。 23ページありますのでブログには分割して連載することにしました。何しろ33年前ですから、現在では日本でも当たり前のことに感激して書いています。その辺のギャップを楽しんで読んでいただければ幸いです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー はじめに 広川町の教育委員である浜野光子さんは、私の義従姉にあたる。その彼女の長男である文男くんは長くアメリカのフロリダに住んでいる。「一度こちらへ来て欲しい」と言う再三の勧めに、飛行機に弱い彼女は「そんな事は考えただけでも眠れない」と頑として動かない。 それなら私が行ってつぶさにこの目で確かめてくるからと言うのがこの旅行のそもそもの発端である。もっとも私自身はフロリダという土地に憧れていた。それが30数年ぶりに実現したのだから大感激だった。その事情は後ほど述べることにする。文男くんとは家が隣ということもあって、歳の違う兄弟のように育った仲である。私自身は数年前東南アジアへパック旅行したのみで、はじめてのアメリカ、それもロサンゼルスまでは一人旅である。
旅行期間は1987年8月25日から9月5日の12日間。フロリダでは8月26日から9月3日の9日間滞在したわけだが、今後これほどの旅は経験できないだろうと思われる充実した日々を過ごした。この素晴らしい見聞を知人の皆さんに伝えたくて、ここにこのレポートを作成することにした。まとまりのない文章ながら皆さん方の参考になればうれしい。 夫妻のプロフィール ここで夫妻の生い立ちを紹介しよう。文男くんは、今は亡き浜野善一さんと光子さん夫妻の長男として、広川町広で昭和28年に生まれた。1つ違いの姉さんと2人姉弟である。耐久中学から耐久高校へ進みストレートに国立の東京工業大学に入学した。在学中に1年間サンケイ・スカラシップの試験を受け米国のコネチカット州のハートフォード大学に留学した。 日本ではあまり知られていないこの大学を選んだ理由は奮っている。英語を早くマスターしたかったとのこと。おかげで1年間に日本人と会ったのはただの1度きりだったと以前に聞いたことを覚えている。(もっともハムの方ならハートフォードは米国のアマチュア無線連盟ARRLの本部のある都市だからご存じのはず)
その後、東工大の大学院に進まれ、途中から担任教授の勧めもあって専門分野の制御工学の権威者のおられるフロリダ大学の大学院へ行くことになる。そこで博士号を取得してから州立フロリダ・アトランティック大学に勤務された。現在はこの大学の助教授として、ロボットやロボットの眼といわれるコンピューターの画像認識やハイビジョン(高画質テレビのこと)などを研究している。 一方祥子さんは、神奈川県の相模原市の斉藤幸一郎夫妻の三姉妹の次女として昭和28年に生まれた。地元の高校からこれもストレートに東京大学に入学した才媛で、彼女も在学中にスカラーシップの資金を受け、カリフォルニア大学に一年間留学した。二人の出会いはこの留学にあったわけだ。その後同じくフロリダ大学の大学院に進まれ、博士号を取得された。専攻は言語学で、日本語が専門とのこと。現在は古巣のカリフォルニア大学のサンタクルーズ校で専任講師として日本語を教えている。 世界の観光地フロリダ アメリカ大陸は誠に広大な土地である。大型ジェット機でロスからフロリダまで6時間もかかる。この大地を上空から眺めていると、どんなところでも道路が縦横無尽に走っている。しかも日本よりも高低の差が少ないせいもあろうが、よほどのことがない限りまっすぐに伸びており、それに沿って畑が四角や円形に並んでいる。それが幾何模様のようで美しい。蛇行しているのは河川のみ。 ご存知のようにフロリダ州は米国の東南部に位置する半島で、面積15万平方キロメートルというから日本の本州の約3分の2もある大きな州である。南部は丁度わが国の最南端石垣島と同じ緯度なので温暖な気候に恵まれて土地は豊かだ。この土地は我々日本人にとっては考えられないような独特な地形をしている。この広い半島に山が一つもないことだ。見渡す限り延々と続く台地で、湿地帯が多く至る所が沼や池なのだ。おそらくその数は大小合わせて数万いや数十万だろうか、もし、わが紀伊半島もこのように平坦だったらどんなに豊かなことかとつい愚痴っぽく考えてしまう。
もう一つの驚きは、半島の東側は北部にあるジャクソンビルから南のマイアミまで約500kmも延々と砂州が続き、しかもその内側が天然の運河になっていることである。その運河は、ヨットやモーターボートの港や係留地となっている。聞くところによれば、昔は郵便配達のために北部よりマイアミまで裸足で砂浜を走ったとか、全く信じられない話だ。
ここはまた和歌山と同じオレンジの産地で、空港の売店ではオレンジを搾ってジュースにしてくれる。適当な酸味があっておいしかった。オレンジ郡という地名もあり、スーパーマーケットにはいろいろなジュースが大型紙パックに入れて並べられて、土地の人々はコーラと共にオレンジジュースをよく飲んでいるようだ。日本と違うところは、すべて100%果汁であまり加工していないことだ。そのため酸味が強いのが多い。
フロリダが最も知られていることは、アメリカのいや世界的な観光地としてだ。それだけにどこでも街並みがきれいで、長い海岸線はビーチだらけである。青い海、ブルーの空にヤシの木、それに朝日や夕日が赤く雲に映えて本当にきれいだ。まさにどこを切り取ってみても絵になる風景だ。 話が前後するが、このフロリダの開発に日本人が貢献しているのだそうだ。19世紀の終わりごろにこの土地を開墾しての農園を開発に努力したそうだ。ボカラトンの町にはその功績をたたえて、いまでもヤマト通りやモリカミ公園として市民に親しまれている。 フロリダの夏はオフシーズンで、冬季には人口が何倍にもなって大変な賑わいだそうだ。最も寒い時でも20度くらいだそうだから、寒さを逃れてニューヨークやボストンなどの東部の金持ち連中がわんさか押し寄せてくるのは無理もないところである。
州都はタラハッシー市だそうだが、経済的な中心地マイアミ市は世界的にも有名で、フロリダの代名詞の感がある。ここは二つに分かれている。内陸部にあるのが中心地のマイアミ市で、運河の外側にある観光名所のマイアミビーチ市だ。高層ホテルが続くマイアミ市のダウンタウンをドライブしていると、両側にずらり銀行ばかり数百mも続く大通りがある。マイアミは観光地だけでなく中南米貿易の基地でもあり、空港も大きく、ここから各国への航空ルートが延びている。
by ja3cf
| 2020-03-30 09:14
| 【特別編】
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