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「アメリカ最南端に立って」フロリダの旅・見聞記 ⑪

成長が楽しみな文ちゃん

 文男祥子夫妻は、この9月で丁度結婚10年目になった。お二人の間には6歳になる文(あや)ちゃんがいる。彼女はアメリカ生まれのアメリカ育ちである。現地の子供と一緒に保育所や幼稚園に行っていた。家では日本語で話している。

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そんな状態だから、文ちゃんは日米両国語がペラペラである。それも単にしゃべると言うだけでなく、天性の才能が随所に現れて我々大人が舌を巻くことが多い。近所の友達とガヤガヤと一緒になってしゃべっていたとき、急にこちらを向いて日本語で「この子たち、おしゃべりでしょ」と。そのスイッチの切り替えの見事なこと。日本の歌を自分で英語に直して歌っている。また英語の歌を歌ってくれるのでわからないと言ったら、それなら歌詞を書いてあげるとノートにスラスラと書きあげた。歌の文句は大人でも難しいのに、わずか6歳の子供がいとも簡単にそれをやってのける。

 すでに100までの数字をそらんじているし、足し算や引き算の計算を始めかな文字はもちろんのこと、簡単な漢字まで書くことができる。海外駐在の日本人は子供の日本語教育がおろそかになって困るそうだが、彼女の場合はお母さんの祥子さんがその道の専門家なのだ。文ちゃんの部屋には日本の小学校の教科書が1年から6年までずらりと揃っているのに驚いた。

 このように書くと、さも可愛げない子供のような印象を与えるが彼女はお母さんの後ろばかりを追いかけており、外に出れば抱っこばかりねだっているごく普通の甘えん坊なのだ。文ちゃんはこの9月からお母さんと一緒に住んでいるサンタクルーズ校の構内にある小学校に入学することになっている。米国の初等教育には、飛び級制度というものがあって生まれた月によってそれが選択できるそうだ。彼女は1年早く入学するとのことだが、入る学級は1,2年混合学級だそうだから来年はもう3年生だろうか。

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 祥子さんの話では、あまり早い進級は本人に良くないのではなかろうかと疑問を投げかけている。人間形成の上で、常に年上の人たちとの付き合っていくことになるので、健全な発育が阻害されるのではなかろうかと。

この新学期に祥子さんのサンタクルーズ校に、僅か13歳で大学3回生に転入してくる学生が話題になっているそうだ。これはアメリカでも最年少だそうで、果たしてうまくやっていけるかどうか大学当局も気をつかっているとのこと。

 話が変わるが、米国では日本のように新聞には全国紙がなく、部数も何百万部と言う新聞が少ないようだ。それだけにテレビのニュースや解説がよく見られている。人気であるニュースキャスターの意見が世論を左右するようだ。洋子さんの話では、日本人でこれらのキャスターと互角に渡り合える人が少なすぎる。他の国には大抵そのような人がいて、彼らと論争をして堂々と自分らの主張を言って、なるほどそういうことかと米国人を説得させている。

 それが日本人の場合、この人だと十分に意見を持っていると期待していると、聞くに耐えない語学力で論争どころか、さっぱり説得力がなくなり、がっかりすることが多い。また、たまにベラベラ喋る人がいたりするが、それは内容のない話であったり、核心をついてなかったりする。その意見が日本の主張だと一般に思われたりしているとの事。このような人が、日本の権威者顔をしているのは困ったものだと思う。このように英語に堪能な日本人権威者が少ないことが現在問題となっている。貿易摩擦や東芝のココム規制違反事件などが、さらに日本の立場を不利にしているようだ。

 文ちゃんのこのような世代が成長するようになると、そんな心配もなくなるだろうか。彼女を観察していると、生活態度は完全にアメリカ人だ。英語でものを考え、日本語に直している。日本人の英語と違って発音が本格的なので我々にはさっぱり聞き取りにくい。理想的な環境のもとですくすく育つ文ちゃんが、今後どのように成長するのだろうか、それを見守っていくのが楽しみだ。

【後日注:文ちゃんは有名大学を卒業して国務省に勤務している】


by ja3cf | 2020-04-19 22:21 | 【特別編】
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